カラマーゾフの兄弟〈下〉 (新潮文庫)
評価 : (5.0点)

多くの個性的な登場人物が出てくるが、どの人物にも共感できる部分があるというのが面白かった。人間の多面性というのはこの作品のテーマの一つだと思う。イワンの悪魔(もう一人の自分)との対話、カテリーナの裏切りなど、多面性が浮き彫りにされるシーンは非常に印象的だ。

人間は成長する過程で色々な人格を身につけ、多面性を獲得する。だがその前に誰にでも、純真な子供だった時期がある。幼児期の重要性も重要なテーマの一つだろう。コーリャは急いで大人になりたがっている子供として描かれ、アリョーシャはそれを悲しむ。

子供たちに向けたラストシーンのアリョーシャの言葉は、胸に迫るものがある。

彼の言うとおり、人生にとって大切なのは子供のころの素晴らしい思い出だ。そんな思い出を作るためには、大人が子供を大切にしなければならないのだ。子供を大切にしない社会に、未来はない。


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