それから (新潮文庫)
評価 : (5.0点)

文句なしに面白かった。主人公の代助の視点から家族、友情、現代の人間関係、就職、金など数多くのテーマが冷静かつ知的に語られる序。世の中を冷淡に見つめつつも、ただ一つの問題に悩まされ、そしてある決心に至る破。それからの怒涛の展開を見せる急。どの部分も読み応えがある。最後まで自分を冷静に見つめる力がありながら、「終わり」に突き進んでしまう代助に不思議と感情移入してしまった。代助は始めと終わりで同じ人間とは思えない行動を取ってるんだけど、その間に起こる微妙な心理変化の描写が素晴らしい。何度も読み返す価値のある名作。昔は三四郎がベストだったけど今はこちらが一番好き。あと二十年くらいたったら「門」がベストになるのかも。


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