生命とは何か―物理的にみた生細胞 (岩波文庫)
評価 : (4.0点)

ものすごく有名な本ですが。。。

ワトソンやクリックもDNA構造の大発見前に読んでいた分子生物学の火付け役のような本(?)ということで、さすがにおもしろい。超一流の思考が見られる。

例えば、遺伝物質の大きさを、X線照射による突然変異の割合から推定していくくだりなんて、とても素敵。

量子論の基礎の方程式を発見し、分子生物学の火付け役にもなってるって、20世紀の2大発見両方に関っていると考えるとすごい人だなぁ。

こういうのを天才というのだろうか。

DNAと遺伝情報に関するところは言わずもがな、エントロピーのところも、「散逸構造」の概念の先取りだし。いまだに、「生命とは何か?」と聞かれたら「散逸構造だ」と答えるか、何かしらDNAに関することを答えるかのどちらかの人間が多いんじゃないだろうか。

・・・こういうのを天才というのだろうか!

あとがき的なところに、人間の意識に関して書かれている短い部分がある。ここでシュレーディンガーは、人間の意識が存在するということを、遺伝の問題やエントロピー減少の問題とは別次元の、もっとも難しく必然的に形而上学的・哲学的にならざるを得ない問題としてわざと本編とは別に記している。ここはけっこうトンデモなところがあって、依拠しているのはウパニシャット哲学で、人間の意識がそれぞれの人に個別にあって、人が死んだり生まれたりするとその個数が変わるなんておかしな考えであると一蹴している。いわく、意識というのは唯一、あるのみであると。そしてその根拠が、女性を抱いた時にひとつになる感じがあるじゃないか、というような話だから。。。

こういうのを天才というのだろうか(笑)。


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