無視された聴衆―現代音楽の命運
評価 : (5.0点)

古典主義への深い敬意を持つ作曲家の著者(故人)ならではの視点で、色々と興味深い事例の紹介・分析を交えつつ現代芸術が擬科学的態度へと陥る変遷を追いながらその欺瞞性を批判したりすることを通して芸術・創作表現とは人の感性とは何かを問う一冊。述べられている視野の偏狭さなどへの批判もあるようだけど、「一つの視点」としては非常に真摯に掘り下げられていると思うし、総論各論への賛否は置いておくにしても面白い叩き台になるのでは。「志の高さ」というものを考えさせられる一冊でもあると思う。単に読み物としてもスリリングに感じられる一面もあり色んな意味で面白かったんだけど、残念ながら絶版中の模様(図書館では割とよく見かける気もする)。


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