あなたが子どもだったころ―こころの原風景 (講談社プラスアルファ文庫)
評価 : (5.0点)

氏の本は20代中ごろによく読んだ。心理学という学問に興味がわいた
そのころ、色んな心理学の本を読んでいたけれど、一番読んだのは河合
氏の本だったように思う。対談の名手として氏の対談集も色々と読んだ
けれど、仕事が忙しくなるにつれ、氏の本からも心理学の本からも遠ざ
かってしまった。亡くなられたのも2年ほどして初めてしったほど、疎
遠になってしまっていた。

ところが私の娘たちはすくすく育っていく一方で、少しずつ人との距離
感の取り方に試行錯誤する時期に差し掛かってきていて、私にも色んな
悩み事をぶつけてくるようになりつつある。そんなとき、以前購入した
まま積ん読になってしまっていたこの本を手にとってみた次第。

当代一流の各分野の著名人との対談形式で、皆さんの主に子供時代のこ
とを語ってもらうという趣向で、河合氏と比較的同年代の方々から話を
伺っていくスタイル。皆さんそれぞれに人間関係の距離に試行錯誤をく
りかえし、もまれて削られて、その切磋琢磨によって今の名声があるこ
とが河合氏の絶妙の話によって引き出されていく。

干渉しないようにしようしようと思いつつも、子供からみると干渉して
くる鬱陶しい親になりつつある自分に改めて自戒。私の場合は本読め本
読めと娘たちにせっつくことを自覚しているだけに、本だけは読め読め
というまい、と肝に銘じた。

もっともこの本を読み終えた2日後に次女がもっと分厚い本が読みたい
と言いだしたことに喜び勇んでしまう自分がいたわけだけど。

'11/11/16-'11/11/18


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