雑食動物のジレンマ 上──ある4つの食事の自然史
評価 : (4.5点)

これもまた、工業的食品産業への疑問から出発し、我々の食品がどこからどのようにしてやってきたのか?を述べている本です。

同じような内容の本をいろいろ読んできていますが、この上巻の面白いところは、“トウモロコシ”が我々の体を構成していると単純化している点です。
実際、トウモロコシなんて夏場に少し食べるぐらいという認識だったのですが、内容を読んでいくうちに、なるほどと気づかされました。
たしかに、我々(日本人でも)の身の回りにはトウモロコシがあふれかえっています。

また、僕の研究との関わりではビッグ・オーガニックという概念が有益でした。オーガニックと聞くとどうしても牧歌的な農場の風景を思いがちですが、決してそんなことはないのです。これがオーガニックの広がり、さらには近年の後退と何かしらの関係がある気がします。

さらにジョエル氏のポリフェイス農場について、生き生きとした文体で書かれており、翻訳書ながらとても読みやすく、心が躍るような情景を想像することが出来ました。

あくまでルポというか情緒に訴える表現も多く、科学的な専門書ではありません。ただ、このようなジャーナリスト的な文章は、読者想像力を富ませることが出来、とても有益であると思います。


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