セメント樽の中の手紙 (角川文庫)
評価 : (4.0点)

先日読んだ本の中に「セメント樽の中の手紙」のことがチラッと出てきて、何となく気になったので図書館で借りて読んでみました。
葉山 嘉樹という人の短編集になっている文庫本で、8編の短編が入っていました。

「セメント樽の中の手紙」においては、私たちが子供の頃(昭和50年代くらい?)の国語の教科書に掲載されていたそうです。私は全然知らなかったけれど。
でも、内容はちっとも教科書向きじゃないように思うのだけど…(..;)

プロレタリアという言葉をはじめて知りました。
ブルジョアは耳にするのに、プロレタリアは聞いたことがなかった。
簡単に言えば、ブルジョア=上層階級、プロレタリア=下層階級って感じで、要は貧乏人ってこと。
葉山 嘉樹の小説はプロレタリア文学と言われているようです。
蟹工船は読んだことが無いけれど、Amazonのレビューでは「『蟹工船』に感銘を受けた読者は、ぜひ一読を!」とか「この本あっての蟹工船」とか言われています。

昔の小説って、言葉が古くて、当て字のような漢字の使われ方をしていたり、読みづらいと思っていたけれど、この葉山 嘉樹の小説はどれも文章に流れというかリズムを感じて、とても面白かったです。
意味がよくわからない部分も正直少なくはなかったのですが、それでも心地よく読めてしまう。
それに描写が独特というか、擬人的な捉え方や言い回しが面白いです。

中でも「淫売婦」が面白かった。「氷雨」「屍を食らう男」も個人的にはよかったです。

図書館で借りたので、いつかまた借りて読み返したいなぁと思ったら、青空文庫でほとんどの作品が読めました。
http://www.aozora.gr.jp/index_pages/person31.html#sakuhin_list_1
(「濁流」だけ無い)

でも、文庫本には解説や作者の年譜なんかが結構なボリュームで入っているので、買っちゃってもいいなぁとは思います。


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