国鉄スワローズ1950‐1964―400勝投手と愛すべき万年Bクラス球団 (交通新聞社新書)
評価 : (5.0点)

プロ野球史に興味を持つものとしては、国鉄スワローズの名前は
避けては通れない。国とプロ野球という今では考えられない組み
合わせもさることながら、400勝金田投手の名前が残る限り、
必ず言及されるからである。

晩年こそ名球会会長を追われる形で辞任したことで、選手時代に
天皇と呼ばれた傍若無人ぶりがクローズアップされたが、本書を
読む限りではたとえ万年B級と揶揄されながらも金田投手が国鉄
球団に抱いていた愛着がうかがえる。

国鉄の労使一体となった球団への応援体制や、日本野球草創期か
らの国鉄と野球のかかわりなど、その膨大な調査結果には頭のさ
がる思いである。新書と軽んじてはならぬ内容の充実ぶりは、野
球ファンだけでなく、鉄道好き、経済や企業文化好きにとっても
得るものが多いと思われる。

こういった球団の存在があってこその今のプロ野球の隆盛なのだ
が、扱いとしては誠にさびしい限りである。

最近西武ライオンズが前身である西鉄ライオンズへのリスペクト
を打ち出しているが、ヤクルトスワローズも国鉄スワローズに対
して何かやってくれないだろうか。

'12/03/1-'12/03/1


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