夜と霧 新版
評価 : (5.0点)

人類が考えうる最も過酷なまさに「生き地獄」であった強制収容所を、心理学者として冷静かつ客観的に描いた名作。

いつまで自分が生きられるのかも分からない状況で、人間らしい感情を失わずにいられるのか、自分だったらと思うとひたすら悲観的な気持ちになった。だって「衣食足りて礼節を知る」でしょ。
でも本書にあるとおり、その望みを失ったらもうそれは実現不可能になるのだ。

本書が凄いのは、ここまでの特殊な状況を描きながらも、より普遍的なメッセージを発しているところだ。人間だれしも一生に一度は、「どう生きるのか」という決断を迫られるときがあるだろう。
そのときに側に置いて読み返したい。


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