「空気」と「世間」 (講談社現代新書)
電車に乗っていると、女子高生の集団が乗り込んできます。彼女たちは、楽しそうに会話します。やがで、駅で一人二人と居りてきます。〈中途略〉
二人になり、一人がホームに降り、電車が発車した瞬間、車内に残った女子高生の笑顔は、一瞬で真顔になります。それは、彼女が本当には笑っていなかったという証拠です。
嫌な接待の後、相手がタクシーに乗って走り去った瞬間、一瞬で笑顔が消えることと同じです。本当に楽しいデートの時は、笑顔はゆっくり消え、甘い切なさが残ります。
けれど、それでも、一人よりは安心するからこそ、女子高生は集うのです。ずっと一人よりは、無理して笑い、仮面の微笑みを身につけた方が、生きやすいと多くの日本人は思っているはずです。(p.209)