社会を変えるには (講談社現代新書)
 子どもに学歴をつけさせるためには、収入が必要になります。そうでなくても男性の雇用と賃金が不安定化しているので、専業主婦ではやっていけなくなり、女性の労働力率が上昇します。男性の賃金が下がって働く女性が増えると、いろいろな意味で余裕がなくなる家庭も増え、それだけが原因ではありませんが、家庭が不安定化するとも言われています。
 失業と非正規は全体に増えますが、年長者の正規雇用の維持が優先されることなどのため、とくに若者でそれらが増加します。なかなか安定した収入が得られないので、親元同居が長期化して、晩婚化と少子化が進みます。
 これらは、先進諸国でほぼ共通しておきた現象です。ただし多少のバリエーションもあります。
 社会保障が整っている国、たとえば北欧諸国では、収入が少なくとも親元を出ても大丈夫なので、親元同居が長期化しない傾向があります。それにたいして、社会保障が整っていないか、あってもそれが家族単位でできている国、たとえば正規雇用の親のもとを離れたら非正規の若者は健康保険に入れないといった制度の国では、親元から出て行きません。日本や南欧諸国などでは親元同居の長期化がみられます。(p21)
--出典: 社会を変えるには (講談社現代新書)
お気に入りにいれた人:0人   お気に入りに追加する