社会を変えるには (講談社現代新書)
 現象学を社会学にとりいれたのが、現象学的社会学です。これがのちに、エスノメソドロジーという学派にもつながり、「構築主義」という考え方になります。
 これらで重視されるのは、自分も世界も相手も、作り作られてくるものだから、それがどんなふうに構築されているのかを考えるということです。この作り作られてくる関係のことを、リフレクシビティreflexivityと言い、「反映性」とか「再帰性」とか訳されます。
 構築主義的な研究テーマは、たとえば現在の「女」や「男」の概念や役割などは、どのように作られてきたのか、などです。「男並みに働く」か「女らしく主婦になる」かのどちらかを選べという発想は、「女の役割」がもとからある、遺伝子で決まっている、という発想にもとづいています。
 そうではなくて、工業化をはじめとした歴史的変化や、社会関係のなかで、どうやって「女」が作られてきたか、それと同時に「男」もどう作られてきたか、を考えるわけです。「日本人」と「朝鮮人」がどう作られてきたのか、とか、国益や社会問題はどう作られてきたのか、といった研究などもあります。
 たとえは、尖閣諸島問題は、いつから問題だったのでしょうか。領海や排他的経済水域が陸地から十二海里とか二〇〇海里で決められるという取り決めができる前は重要度は低く、もっと昔はどうでもよい岩の塊でした。一九七八年の日中平和友好条約の際も、ほかに重要な項目があったので、棚上げされました。(p356)
--出典: 社会を変えるには (講談社現代新書)
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