メルロ=ポンティ・コレクション (ちくま学芸文庫)
経験主義的または機械論的な心理学と、これとは正反対の主知主義的な心理学には、互いに深い結びつきがある…。…片方の理論では、語の再生、語のイメージを蘇生させることを基本的な問題であった。これに対して、その反対の理論では、これは内面的な操作としての本物の言葉や、真の命名の〈覆い〉のようなものにすぎないと主張する。ところが…どちらの考え方も、語は意味を持っていないのである。…語に意味が〈ない〉というわけではない。語の背後にはカテゴリー的な操作が存在するからだ。しかし語はこの意味を持っているのではない。…意味を所有するのは思考であり、語はその空虚な外皮にすぎないのである。(p.12-13)