もうひとつの安部システム―師・安部公房 その素顔と思想
評価 : (3.0点)

 亡くなるまでの八年ほど公房に師事した唯一の人だということらしい。手紙を出したら返事が来ちゃったんだとか。
 直接のやり取りなど貴重な内容を含むが、「安部公房が許した」といわんばかりにドヤ顔で吐き出される長ったらしい表現が邪魔でしょうがない。自分についての話も多く、んなことはいいんだよと何度つぶやいたか知れない。
 たとえば、いい作品のためになるべく簡単な言葉で現実を創造すること、と書いたそばから十行ほどかけたコンソメ・スープの比喩(作り方)。いわく「つまりは、研ぎ澄まされた純度」。数ページごとにすっと真顔になってしまう。
 鼻をつまんで評価は3をつける。


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