三国志 (1) (吉川英治歴史時代文庫 33)
評価 : (5.0点)

すごく絵に描いたような消費者で恥ずかしいのだが、学生時分に『真・三国無双3』にドハマリして、読み始めた。既に北方謙三も執筆を始めていたけど、まだ完結してなかったので、こちらを選んだ。
三巻くらいまで読み進めたところで例の夏休みの課題が出されたので小説のうちの一本をこれにしたら、他のゼミ生にすげー引かれた。己は「学術書四冊、小説四作」と言ってるのに宮部みゆきの感想文しか書いてこなかった女子の方がよっぽどアレだと思うんだけどなあ。
以来、ゼミ内の主に女子から三国志キャラとして認定された。何となく、三国志はオタクの読み物なんだなあ、という認識を持つようになったきっかけ。

本はおもしろかった。特に序盤がいい。若い頃の曹操とか無茶苦茶でたまらん。作者が奸物として曹操を描こうとするほど、アンチヒーロー化していって、愛着が増す。
意外に他では語られることが少なく、僕も知らなかった若き日の曹操と陳宮の因縁から、呂布と並んで断首されるシーンは胸が熱かった。その脇でちゃっかり命乞いをする張遼が、ゲームでは愛用キャラだっただけに殊更格好悪く見えたり。ここで張遼だけ助かる流れは、今日的な三国志だとむしろ曹操の大物感を出すためにか、張遼は死を望むが曹操が才を惜しんで止める、というかたちになることが多いと思う。SDガンダム三国伝だとどうなってたっけ……


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