日本語の年輪 (新潮文庫)
評価 : (4.0点)

 言語学者から評判が悪かった大野さんですけども、この人は日本語学者であって、言語学者ではないですからね。とくに日本語の起源はタミル語であるというところに批判が集中したようです。辞書なんか見るといちおう「アルタイ諸語だと言われている」みたいなことになってるんだけど、これもはっきりそうだとは言えないみたいですけどね。
 まあ内容はタイトルの通りです。今使われていることばは昔こういう意味で、こういうふうに変化したのではないか、というようなことがいろいろ書いてある。
 たとえば「やさしい」は「痩せる」と関係が深いとか。万葉集から引用して「肩身が狭い→恥ずかしい」というふうに変化して、平家物語では「殊勝」というふうに使われているところが出てくると。その慎み深さが反面扱いやすいという、つまり「易しい」という意味としても使われるようになったのだと、だいたいそういうような内容です。


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