人のセックスを笑うな (河出文庫)
評価 : (1.0点)

 そうそう、吉行淳之介の『夕暮まで』のレビューでこれを思いだしたのにまだ書いていなかったということを今思いだした。
 というのは『夕暮まで』のような抜けおちた描写というか、舞台や描写、登場人物の関係性だとかがひどく抽象的なんです。アリエッティの背景みたいな。どこで誰が何をしているかというのがよくわからない。でもよくわからないこと自体がおもしろくない原因ではないようです。そういう小説はたくさんあって、そのすべてが必ずしも嫌いというわけではないので。
 この人の本は他でほとんど読んだことがないのであえてそうしたのかどうかわからないんですが、ケータイ小説みたいな浅さで、『太陽の季節』(内容)と『夕暮まで』(形式)を掛け合わせて超つまんなくした小説です。でもまあ好きな人は好きみたいで、群像なんかでもよく書いてるみたいですね。でも群像は本が売れるか受けるかに無頓着なんじゃねえかなあと思うときがあったりします。まあたまに立ち読みしてるだけですが。


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