流れ行く者―守り人短編集 (偕成社ワンダーランド 36)

著者
出版者
偕成社
価格
¥1,575

つぶやき

守り人シリーズの外伝。読み応えはがっつり。

評価・詳細レビュー

(5.0点)
一所に安住することから外れてしまった、流れ行く者の話。
そして子供の頃のタンダやバルサの話です。
タンダがめちゃめちゃ可愛らしくて癒されます。
バルサも大人になってからの頼もしすぎる彼女じゃない、まだ成長途中で色々なことを感じてる時期の女の子なので、なんだか新鮮です。そしてジグロはかっこいい。
話としては、結構大人向けなんじゃないかと思います。現に上橋さん自身があとがきで
“『獣の奏者外伝 刹那』がそうであるように、「ラフラ〈賭事師〉」も児童文学ではありません。”
とおっしゃってました。大人が読んでも色々考えさせられる一冊かもしれません。

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引用

「父さんは用心棒として当然の仕事をしただけだから、サドルは恩義を感じる必要はないって言いたかったんでしょう? だけど、それでもさ、気持ちってもんがあるじゃない。命も、大事な酒場も守ってもらったら、ありがとうって思うのが当然じゃない。」
 そう言うと、ジグロはゆっくりとまばたきをした。
「それは、そうだ。」
「じゃ、どこが……。」
 バルサが眉根をよせると、ジグロは静かな声で言った。
「――おれが、勘ちがいをしていると言ったのは、おまえの怒りのほうだ。
 おまえがサドルに怒ったのは、人としての道理のことだけではなかろう。おれが、もっと報われてしかるべきだと、思ったからだろう。」
 バルサは、ちょっと虚をつかれて、おしだまった。考えてみると、たしかにそうかもしれなかった。
 ぼんやりと視線を天井にむけたまま、ジグロはつづけた。
「サドルに恩義なんぞ感じてもらわなくとも、おれはじゅうぶん報われている。」
 かすかに眉根をよせて、バルサは、養父の静かな顔を見ていた。養父の言葉の意味は、わかるようで……わからなかった。
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