マフィアとルアー (星海社文庫)

著者
出版者
講談社
価格
¥680
TAGROにとって過去は人間の性向を形作ることがあっても、遡ってその芽を摘むような対象ではないのである。
むしろ物語の関心は過去から導き出された現在をいかに生きるか、過去との間にどのような関係を保って歩むのかということだけを主題に選ぼうとするのだ。
そういう意味でこの本に、ダメだった自分の過去を露悪的に語って見せるような自己憐憫はほとんどない。「R.P.E」においてはわかりやすく、「自分はダメだ」ということをアピールするという意味ですら自分はダメで、そこから脱却しなくてはならないということが既に理解のうちにある。
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"……今オレどんな顔してた?"
"嬉しそうな顔してました"
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別かれた彼女がまた別れたと友達から聞いたのは随分前の話だ
まるで遠い外国のニュースを聴くポーズのまま でも耳の後ろはひどく熱かった
手の届く場所に檻の鍵が落ちているのを見つけた囚人の気分だった
そして囚人のしようとしている事を見守っている看守はまた自分自身だった
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