絶望の国の幸福な若者たち
「今時の若者はけしからん」と苦言を呈する時、それを発言する人は自分がもう「若者」ではないという立場に立っている。そして同時に、自分は「けしからん」異質な若者とは別の場所、すなわち「まっとうな」社会の住民であることを確認しているのだろう。
つまり、「若者はけしからん」と、若者を「異質な他者」と見なす言い方は、もう若者ではなくなった中高齢者にとっての、自己肯定であり、自分探しなのである。
自分が「異質」だと感じたものを素直に認めてしまうと、自分が社会にとって「異質」な存在ということになってしまう。逆に自分にとって「異質」なものを「異質」だと断じてしまうことで、自分は「異質」ではないことになる。
(60頁)
佐藤の言葉に象徴されるように、若者に広まっているのは、もっと身近な人々との関係や、小さな幸せを大切にする価値観である。「今日よりも明日が良くなる」なんて思わない。日本経済の再生なんてことは願わない。革命を望むわけでもない。P13
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