海辺のカフカ (下) (新潮文庫)

著者
出版者
新潮社
価格
¥780
(5.0点)

参考になった人:0人   参考になった
(4.5点)

参考になった人:0人   参考になった
(5.0点)
小説をはじめ、映画、音楽、アニメーション、漫才、落語、狂言、能・・・
およそ、あらゆる表現技法は、ことばの曖昧性を越えた何某かを伝えるべく、
そこに「型」として存在している。

その型の中で、多くの表現者達が何某かを伝えようと、
血反吐を吐きながら作品を仕上げ、それが堆積していく。
その堆積が新たな表現を呼び、また堆積する。
この永続的な繰り返しによって、「型」は少しずつ少しずつ、進化していく。

昨今、この表現技法同士の融合が数多く見られるようになっている。
小説を原作とした舞台、マンガを脚本化したドラマなど、
世の中のヒットメーカーたちは横断的な表現活動を展開し、
数多くの衆目を集めている。

「海辺のカフカ」は、残念ながら横断的な表現活動にはむかない。
よく知らないけど、たぶん映画やドラマなどの映像化はされていないだろうし、
舞台も一義的もしく一側面の再現にとどまっている気がする。

なぜか。

簡単に言えば、非常に多くの表現者達が長時間をかけて堆積する「型の進化」を
村上春樹はひとりで一足飛びで行なってしまったからだ。
その進化は、横断ではない。あくまで垂直。技法そのものを先鋭化する。幅ではなく、尖る。
他の技法が追いつかないほどの先鋭化されてしまう。
それゆえ、横断的表現には向かない、のだ。


例えば、100人が100年かけて行なう「型の進化」を
わずか1人で瞬く間に行なってしまう「作品」と「表現者」のことを
「傑作」と「天才」と呼ぶのなら、
「海辺のカフカ」は村上春樹という天才によって描かれた傑作であると言える。

参考になった人:0人   参考になった
(4.0点)

参考になった人:0人   参考になった
(3.0点)

参考になった人:0人   参考になった
(5.0点)

参考になった人:0人   参考になった
(5.0点)

参考になった人:0人   参考になった
ウィッシュリストへ追加
非公開
タグ

メモ


ライブラリへ追加
非公開
評価
 
読書ステータス
つぶやく
タグ

メモ


タグを入れることで、書籍管理ページで、タグ毎に書籍を表示することが出来るようになります。
また、スペース区切りで入力することで1つの書籍に複数のタグをつけることもできます。

※注意: このタグはあなたの管理用だけでなく、書籍自体のタグとしても登録されます。あなた以外の人に見られても問題ないタグをつけてください。
ウィッシュリストからライブラリへ移動
評価
 
読書ステータス
つぶやく