オタクの息子に悩んでます 朝日新聞「悩みのるつぼ」より (幻冬舎新書)

大体の思考法は、何か問題があったら潜らずに、「じゃあ、どうしよう、こうしよう、こうしょう、こうしよう」と、上へ上へと積みあげていってしまうんです。
よくあるロジカル・シンキングとか問題解決法もみんなそうです。
何があれば、問題は解決するだろう。キャリアがあればいいんだ。どうやったらキャリアを伸ばせるだろうか。資格をとればいいんだ……と、「上へ上へ」の積み上げです。
〈中略〉
怪しげな奴に限って、すぐ効能を言い出す。
「すぐに痩せたいでしょう? それには秘密があります。どうすれば痩せるのか教えましょう」というふうに、痩せる方法ばっかり言うんです。
こういうのはダメ。役に立たない。
〈中略〉
どうすればいいのかなんて考えるのは、最後の最後。
というより底まで潜って「手がついた」ら、自然に解決法が浮かんできます。そういうふうに、自然に浮かんでくる解決法以外はすべて考えるに足りません。(p141-143)
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「強い意志があれば、自分の中で意思統一ができるはず」というのは幻想なんですよ。
もっと現実的に、リアルに自分を観測してみる。
ぼくらの心のモデルとして、自分の中に複数の自分がいる。で、その一人がたとえばしょっちゅう食べたがるとか、「決心」社長の監視を盗んで食べたがる。
「決心」社長の監視がゆるい時、つまり理性がフッとゆるんだ時に、こっそりとポテチの袋開けてパリパリパリパリ食べる。社長に見つかった瞬間に、「いえいえ」とか言って、あっという間に隠れるんですよ。
どうですか?みなさんが「自分の決心をつい破っちゃう時」って、こんな感じじゃないでしょうか?
同じように、何かルール違反をついついしちゃう人というのは、多分、そのルール違反を自分でやっている意識があまりないんですね。心の中に、「いや、それぐらいいいんじゃないか」という自分がいる。よく海外アニメに出てくる「頭の両側で天使と悪魔がささやく」、あれと同じです。
学級委員会と言ってもいいんですけれども、自分というのは所詮、統一がとれていない中小企業の社長にすぎない。
だから、自分が決心したからといって思い通りに何かできないのは当たり前。(p131-132)
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他人はともかく、自分ぐらいは思う通りに動かしたい。
「なんで自分は痩せたいと思っているのに食べてしまうんだろう」もそうですし、
「なんで自分は勉強しなきゃいけないと思っているのに遊んじゃうんだろう」、これも同じです。
でも、自分が自分の思い通りに動かないのは当たり前、と考えたほうが、おそらく解決法には近い。
これを理解するための思考ツールが“株式会社・自分”です。
自分を一つの統一された自我だと考えない。
思い通りに働いてくれない部下がいっぱいいる小さな会社というふうに考えるんです。(p130)
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彼女が聞きたいのは、おそらくこれじゃない。いや、「これじゃないだろう」と、僕は“疑い”ました。
「疑って分析する」、その上で、その文章中にその“証拠”を見つける。
こう考えないと、相談者に対してフェアじゃないんですよ。
相談してくる人の多くは、日記もブログも普段ろくに書かない人です。ひょっとしたら、相談する相手もいない人かもしれない。もしくは誰に相談してもうまくいかないから、新聞に投稿してくる。
投稿はメールの場合もありますし、ハガキもあります。文章を日常的に書き慣れない人が、慣れない中で本当に一生懸命に書いて送ってきます。(p121)
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生きるということはひどく無様にあがくことで、素晴らしいことでも何でもない。(p121)
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「生きる」とは欲望と不安を受け入れること。無駄と混乱は当たり前なんです。(p112)
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幸せとは「不幸の回避」ではなく、「乗り越えるのが楽しい不幸」だと思います。(p106)
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本書は「人生相談本」ではありません。
「問題に対する考え方」を教える本です。
論理的思考力や、それを超える発想法を、できるかぎりわかりやすく、読者みんなが身につけて実践できるように構成しました。(p7)
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「人間誰しもが持っているような普遍的な問題」にまでいきついて、さらって帰ってこないと、考えたことにはならない。(p99)
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なんか、もっと「届く」ような答えをだしたい!
読んでいる人の世界が変わるような、少なくとも「変わって見えてしまう」ような答えを出したい。(p81)
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