反芸術綺談

著者
出版者
海鳥社
価格
¥1,890

評価・詳細レビュー

(4.0点)
1960年代日本は高度経済成長期を迎え、美術もまた、それに呼応するかの様に新しい展開を見せました。その中で過激な運動の中に「反芸術」運動というものがあり、その中でも更に過激で社会に密接したものに「九州派」と言うグループが居ました。
「九州派」はその名の通り、福岡県で結成され、その構成員の多くは、芸術活動だけでなく他に定職を持つ所謂「日曜画家」でした。そしてそういう人達で構成されていたからこそ、高度経済成長期の影にあった1959年の三池闘争に代表される労働争議に関わりを持ち、だからこそ「九州派」は最も社会に密接した芸術団体と言えるのです。
本書ではその「九州派」の筆頭であった菊畑茂久馬が「九州派」の活動を振り返った回顧録であり、「九州派」の破天荒な活動や雰囲気を、当事者の人間からの生きた声として聞く事ができます。絵具の代わりにコールタールを、筆の代わりに箒を用いて作品を作り、自らの作品を東京襲撃の弾丸と称した、正に「反芸術」と呼ぶにふさわしい「九州派」の活動をこの機会に是非知ってみてはいかがでしょうか?

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引用

いわゆる「戦後前衛芸術史」として、年表に括られる「九州派」は、いかにも新しい芸術の動向に疎い、地方特有の土着思想にまみれた、政治性の強い芸術集団のようにとられるが、しかし芸術運動を社会の動静が生み出す一つの新しい文化の顕現と見るならば、これほど当時の社会の実態を深く映しとった芸術集団はないのである。-新装版発刊によせてp.6-
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