モチベーション3.0 持続する「やる気!」をいかに引き出すか
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 外的な数値だけを重要な目標とし、それに報酬をリンクしたときに問題となるのは、たとえ倫理にもとる道であっても、そこへいたる最短ルートを選ぶ者が現れる、という点だ。
 現代生活につきもののスキャンダルや不正行為の大半は、この「近道」が関連している。企業役員は業績手当を得るために、四半期所得の数字を調整する。中等学校のカウンセラーは、最上級生が大学に入学できるように、生徒の成績証明書を改ざんする。アスリートは、記録を伸ばすために、そして高額な業績手当を得るために、ステロイドを注射する。
 こうしたアプローチを、内発的動機づけによる行動と比較してほしい。得られる報酬がその活動自体 ー 学びを深める、顧客を喜ばせる、ベストを尽くす ー であるとき、安楽な近道は存在しない。目的地に達するには、王道を行くしかない。ある意味、倫理に反した行動はとれない。不利益を被るのは競争相手ではなく、最終的には自分自身だからだ。