阿部さんの「世間」に関する仕事の中で、一番感動的なのは、「世間」のルールを明確にしたことよりも、じつは、「西洋にも『世間』があった」ということを教えてくれたことだと、僕は思っています。〈中略〉
阿部さんの中世ヨーロッパの研究によって、人間は、放っておけば、「世間」のような集団を作るものなんだ、それは日本もヨーロッパも同じなんだと例証したのです。
〈中略〉
つまりは、日本人の「世間」と欧米人の「社会」を分けるのは、一神教のキリスト教の存在なのだと、明確に描写したのです。(p80-p85)
--出典:
「空気」と「世間」 (講談社現代新書)