暴走する「世間」―世間のオキテを解析する (木星叢書)
阿部(謹也)さんの「世間」論が衝撃的だったのは、日本には「世間」はあるが、社会など存在しないと主張したことである。これは、一般に強い衝撃を与えたが、とくに日本のほとんどの人文・社会科学に関わる学者の顰蹙を買うことになった。
なぜか?
日本のほとんどの人文・社会科学は西欧からの輸入品であり、それは西欧の社会を前提としたものであったために、大多数の学者は、日本にも社会が存在し、自分もそのなかで生きていると信じていたからである。(p15)