21世紀家族へ―家族の戦後体制の見かた・超えかた (有斐閣選書)
「個人化する家族」という概念を最初にはっきり打ち出したのは家族社会学者の目黒依子です。〈略〉家族という観点から見ると、婚姻の公的意味づけの消失、一生を通じて、あるいは人生のかなりの期間、子どもや配偶者をもたないライフコースの一般化など、家庭に属するということが人々にとって必ずしも自明でも必然でもない社会の到来を指し示しています。若い世代がそうした生き方を志向するばかりでなく、つれあいに先立たれた高齢者のように、そうした暮らしを余儀なくされる局面ももちろんでてきます。「家族生活は人の一生の中であたり前の経験ではなく、ある時期に、ある特定の個人的なつながりをもつ人々とでつくるもの」となる、すなわち家族生活は一つのライフスタイル、人生のエピソードの一つとなると目黒はいいます。(p242)