21世紀家族へ―家族の戦後体制の見かた・超えかた (有斐閣選書)
現代、子どもを生み育てなければならないと、その必要性を真に実感しているのは、家族でも、ましてや個人でもありません。将来の労働力を確保しなくては、と考えるのは国家だけです。本当は国境を越えた労働力の移動を自由にすれば、そんな心配はなくなるのですが、そうすると「国家」の存在基盤もあやしくなりますから、近年の出生率低下をめぐる政府、マスコミあげての大騒動は、そんなあたりを背景にしています。(p196)