21世紀家族へ―家族の戦後体制の見かた・超えかた (有斐閣選書)
家事というのは要するに、支払われない労働以外のなにものでもありません。別の言い方をすると、「市場化されない労働」とも言えます。〈略〉家事というと、ここが大事なところなんですけれども、とても古い種類の労働だと思いませんか。人間は誕生して以来、ずうっと暮らしてきたんだから、身の回りのことをする家事も、ずうっとあったはずだ。だから会社でしているような種類の仕事に比べて、家事という仕事は歴史的にも古いだろうと。ところが、それは間違いです。〈略〉近代社会になって市場化がかなり進んで、「売れる仕事」と「売れない仕事」とがはっきり分けられるようにならなければ、「これが家事だ」と指し示すことはできない。(p38)