プロセスを明確に定義し管理をすれぱするほど、個人の「やらされ感」は高まります。過度の標準化を行ってしまうと、仕事の本質を考えていこうというモチベーションを人から奪い去ってしまいます。いくら標準化を進めたとしても、毎日の仕事は例外処理に溢れています。例外をできるだけ少なくして仕事のスピードを上げる努力をする企業は多いと思いますが、生産性を真に高めるためには「例外こそ知識の宝庫」という考え方を持つ必要があります。何かあっても結果として遅れが出ないことを重視する職場では、例外や失敗を「なかったことにする」風土ができあがります。当然の帰結として、学習しない組織へと一直線に向かうことになります。厳密すぎる分業と管理は、創造性を発揮する余地を失わせてしまうのです。一見効率的なように見える分業と管理は、一人ひとりの持つ豊かな感性・直感力・創造性という資源をまったく活用しないため、新たな問題に対処する力が弱く、成長のスピードも遅くなります。(p.xiii)