伝わる・揺さぶる!文章を書く (PHP新書)
“なんとなく”生きている子たちこそ、いま、受けている傷は深い。なぜだろうか?
 人は、どんなに幼くても、あの人ともこの人とも違う、何かを自分の中に持っている。体内の感覚や意志を、掘り起こし、形にし、外界に問うてみるまで、自分の中のものが、ひん曲がっていると言われるか、素敵だと言われるかは、わからない。
“なんとなく”で生きているということは、自分の中にあるものと向き合わないことだ。他人の言うことを仕入れては、切り分けて、外に出す。そんな受け売りを繰り返していると、自分の内面と、行動が離れていく。自分が、外界と関わっていることにならない。
 だから、考えることを通して、自分の内面を顕在化できないと、人は静かに傷ついていくのだ。(p40)