「中学の生徒たちに一教師という立場で語る」という著しい言語的制約を課した上で、言葉の力をこれほどに信じて進められていく物語は希有であろう、という点だ。本編の主人公・鈴木先生が子供たちに訴えつづけているのは、知ることではなく、自ら考えることの大切さである。
そして一人一人が考え、さらには互いの考えをぶつけあうことで、年齢、性別を超えて、いついかなるときであってもそこに神経を集中させねばならぬ、「自分とは本当は何者であるのか?」という唯一無二の命題に誰もが立ち向かっていけるようになる──作者の武富氏は本作を通して繰り返しそう語っているように思える。(解説:白石一文より抜粋)
--出典:
鈴木先生(11) (アクションコミックス)