ウォルター・アイザックソンが書いたアインシュタインの素晴らしい伝記に、プリンストン大学での逸話が紹介されている。新しい研究室に何が必要かと聞かれて、こう答えたという。机と椅子、紙と鉛筆、それに特大のゴミ箱がいる。「大量に間違えて、捨てるから」というのだ。ビジネスの世界では、スティーブ・ジョブズがリサやパワー・マックキューブで失敗したのは意味があったと言えるはずである。こうした冒険のためにアップルではきわめて創造的な社風が維持され、アイフォーンなどの大ヒット商品が登場したからだ。全米の経営大学院で、やってはならないことの事例研究では、典型的な失敗例としてエドセルやドーナツ盤レコード、ニュー・コークなどが取り上げられているが、これらの間違いすら、意味があったとも主張できる。これらの失敗は、後に経営陣の失態について教えてくれる貴重な教訓になっているが、要するにリスクをとってうまくいかなかった例なのである。 P37
--出典:
ビジネスで失敗する人の10の法則