この1冊ですべてわかる コーチングの基本
P.89

 みなさんは、誰かをほめるときにどんな言葉を使うことが多いでしょうか。「素晴らしい!」「えらいなあ」「助かったよ」など、ほめ言葉が次々に浮かんだ方もいれば、いつも誰にでも同じほめ言葉を使っている人もいるでしょう。
 私たちコーチは、クライアントが目標を達成したときはもちろん、セッションで宣言したことを実行したときや目標までのマイルストーンを達成したときに、クライアントに言葉を使えますが、その伝え方として次の 3 つのスタンスを持っています。

 (1) YOU メッセージ
 (2) I メッセージ
 (3) WE メッセージ

 YOU メッセージとは、YOU のスタンス、つまり、「あなた(あなたの仕事)は◯◯だ」と相手に伝えることです。「仕事が速いですね」「完璧な資料ですね」「賢いですね」などがこの例です。
 I メッセージというのは、私のスタンスで、相手の行動や存在が自分へどんな影響を及ぼしたのかを伝えるメッセージです。「参考になりました」「もっと詳しく話を聞いてみたいです」など、自分が思っていること、感じていることを伝えます。
 そして、WE メッセージというのは、私たちというスタンスで、自分たちにどんな影響が及んだのかについて言及するメッセージです。「あなたのひと言でこの会議が和やかになりました」「あなたがいるだけで、会社全体のエネルギーが高まるようです」など、より大きな影響力を相手に伝えるメッセージです。
 この 3 つのメッセージは、どれがよい悪いはありませんが、前述の所属の要求を満たすという意味でも、より他社への影響を確認できる I メッセージや WE メッセージのほうが相手の心に残るようです。もちろん、実際は、ストレートな YOU メッセージを好む方もいますので、コーチは、クライアントをほめる際、どのスタンスをとれば、より伝わりやすく、次なる行動を生み出しやすいのかを見極めるように意識をしています。