狂気の歴史―古典主義時代における
癩病のあと、その中継として登場するのは、まず性病だった。突如として十五世紀末…あとをつぐのである。…しかしながら、中世文化のなかで癩病が果たしていた役割を、古典主義時代の世界でちゃんと引き受けるようになるのは、性病ではない。最初の間こそこうした排除措置がとられたけれども、性病はやがて他の病気にまぎれこむ。…癩病の正真正銘の遺産相続を探すべき場所は、性病などではなくて、きわめて複雑な現象のなかであって…この複雑な現象とは、狂気である。しかしながら、この新しい強迫観念が、一世紀にわたる恐怖のなかで癩病のあとにつづき、それと同じように分割・排除・浄化という反作用…を起こさせるためには、二世紀近くの長い潜伏期間を必要とするだろう。十七世紀なかばごろ、狂気が人間によって統御される前まで、狂気のために古い祭式が復活される前までは、狂気は文芸復興期のあらゆる主要な経験と頑固に結合されてきたのである。(p.24-25)
--出典: 狂気の歴史―古典主義時代における
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