狂気の歴史―古典主義時代における
文芸復興の地平への狂気の登場は、まず最初にゴシック的な象徴主義の衰退を通して認められる。…言いあらわし、思い出させ、教化することをやめて、もはやその幻想的な現存のみを…表現する。画像は、知恵から、そしてそれを支配していた教訓から解放されたいま、重心のようなそれ自身の狂気の周りをまわりはじめる。…中世紀にも親しまれた名高いグロテスク図柄…罪悪に夢中になった精神の堕落をあばいていた。ところが十五世紀になると、人間の狂気の画像であるグロテスグ図柄は、数多くの誘惑のなかの特権的な形象の一つとなる。…十五世紀の人間には、自分の夢想の、おぞましくさえある自由と、自分の狂気の幻影のほうが、生身の人間の欲望をかきたてる現実よりもはるかに多くの魅力があった。(p.34-36)
--出典: 狂気の歴史―古典主義時代における
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