異説・近代藝術論
評価 : (4.0点)

1929~39年までシュルレアリスム活動に加わった画家、サルバドール・ダリの著作です。彼は後期になりますと古典主義に目覚めますが、その古典主義における彼の思想を語った内容となっています。
 アメリカの美術批評家クレメント・グリーンバーグはその批評『アヴァンギャルドとキッチュ』で世俗的な芸術を「キッチュ」と読んでいましたが、ダリは抽象画等に向かう芸術家を「コキュ」と読んでいます。単純に読めばこの本の内容は先のグリーンバーグの批評の対極に位置していますので、『グリーンバーグ著作選集』なんかとセットにして読むのも一興かと思います。
 また、瀧口修造が翻訳を行っていますので、ダリに興味がある方だけでなく、瀧口修造について勉強している方にも是非手にとって欲しい一冊です。


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