生物から見た世界 (岩波文庫)
評価 : (4.0点)

 まえがきにある環世界の要約は、同時に優れて美しい表現でもある。多少幻想的すぎるきらいもあるが、とにかく好きな文章なのでそこだけ引用しておく。
――以下引用――
 野原に住む動物たちのまわりにそれぞれ一つずつのシャボン玉を、その動物の環世界をなしその主体に近づきうるすべての知覚標識で充たされたシャボン玉を、思い描いてみよう。われわれ自身がそのようなシャボン玉の中に足を踏みいれるやいなや、これまでその主体のまわりにひろがっていた環境は完全に姿を変える。カラフルな野原の特性はその多くがまったく消え去り、その他のものもそれまでの関連性を失い、新しいつながりが創られる。それぞれのシャボン玉のなかに新しい世界が生じるのだ。


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