百頭女 (河出文庫)
評価 : (4.0点)

 何十センチか浮き上がったところにいるふんどし一丁の男の股間から照射された光が、たてかけたカンバスにちょびヒゲ親父を浮かび上がらせる。
 そういった絵(コラージュ)がある。そしてその下に、

 ひとこともいわず、どんなときでも、魔法の光。

 という文章がある。このページが一番好きだ。しかしこういった絵こそが巖谷の憂う「シュール」、すなわちシュルレアリスムについての誤解を生むように思われるので皮肉であるというかなんというか。
 ちなみにマックス・エルンストはこれを「小説」と言い張っている。シュールだよ、そりゃ。


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