テクストから遠く離れて
評価 : (1.0点)

 著者はまさに理論の沼にはまりこみ、まったく本が読めなくなった時期があるという。おれがこの本を買ったのはたまたまだが、手にしたころちょうど本を読めなくなっていたということもあり、期待して読んだ。
 これは批判的に「テクスト論」の乗り越えを目指す内容らしいが、しかしここで扱われているのはあくまでもテクスト論のすっぱ抜きであって、それを対象にして批判的に乗り越えるというのはお角違いである。
 どうも懐古趣味か、私怨にしか思われず、むしろ知らないムラの喧嘩に否応なく巻き込まれたようで陰鬱な気持ちになった。
 実際はじめはテクスト論の説明にはじまっていながら、ある程度の説明が済むととたんに批判がはじまる。それはまるで読者が「テクスト論」を標榜しているかのような口ぶりであり、読者をどこに想定しているかにブレがある。
 facebookかなんかでやればいいじゃないか。

 また表示されないのでここにまとめて書くが、テクスト論自体に向き合ってみたいという人にはひつじ書房の『<国語教育>とテクスト論』をお勧めする。多少むつかしいかもしれないが、内容は充実している。


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