ふしぎなふしぎな子どもの物語 なぜ成長を描かなくなったのか? (光文社新書)
評価 : (4.0点)

 昨日読み終わった本。
 立ち読みで読んだだけだからうろ覚えだけど、湯川秀樹が「講義や講義録ははじめに気のきいたことのひとつも言えないようじゃダメ(笑)」みたいなことを言っていて、そうねー、と思ったということがある。
――引用――
 子どもが本を読まなくなったと嘆く声はよく聞かれますし、言葉でしか表せない、言葉だからこそ伝えられる物語も確かにあります。しかし、昔も今も一日の時間は同じなのに本以外にも物語を提供できるメディアが増えているのですから、読書時間が減るのは自然な現象です。
――引用終わり――
 これはまさに気のきいた挨拶だ、と思いました。
 ここで扱われているのはゲーム(DQ、FF)、テレビヒーロー(ウルトラマン、仮面ライダー)、アニメの男の子編(ヤマト、ガンダム)、女の子編(魔法使いサリー、セーラームーン)、世界名作劇場(ハイジ、フランダースの犬)、マンガ(ドラゴンボール、鋼の錬金術師)、児童文学(グリム童話、ゲド戦記)、そしてまとめです。おもしろそうなラインナップです。
 括弧の中に書いたのは集中的に扱われる作品で、実際は多くの作品をいくつか並べて時代による作品と受容の変化を示していきます。ですからそれぞれそんなに深くは切り込まないのですが、ぼくは実はウルトラマンや仮面ライダーはシリーズ通してどれもまったく見たことがないので、むしろ興味深く読めました。もしかしたら詳しい人にはものたりないのかもしれませんが。
 よく、新書などはタイトル通りでない内容があります。この本には「なぜ成長を描かなくなったのか」というサブタイトルがついていて、いかにも結局はスル―しそうですが、ひこにゃんは最後にちゃんと結論を出してくれました。


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