プリンシプルのない日本 (新潮文庫)
評価 : (3.0点)

 白洲は日本はよくなるか? という河上徹太郎の質問に「よくしなきゃダメじゃないの」と答えている。河上は「希望的楽観はよそう」とたしなめるが、白洲はこう返す。
――引用――
 希望的楽観じゃないさ。現実にこれをよくしてゆくこと以外に手がないじゃないの。よくなるかなんて考えるほうが、よっぽど楽観的じゃないか。余計なこっちゃないか、そんなこと。だから、どうしたらよくなるか、それを工夫してゆくよりしょうがないじゃないか。
――引用終わり――
 このように、どこを開いてもだいたい今の日本に引用出来る部分は山ほど見つかるだろう。「白洲次郎は原発導入に関わった」で無効化されるかもしれないが。
 おもしろい本ではある。とくにいま「失言」で政治家が辞めさせられるような状況で、こうしてはっきりしたことを言ってくれる政治家というのは痛快だろう。
 しかし相互監視の網の目は細かい。


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