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巻末の児玉清さんの解説にすべてが書かれている。本文でも静かな共感と感動が、そして読み終えた終わった後には児玉さんの文章にまた心を動かされる本である。著者が亡くなった後に、依頼を受けて書いていたという奥様とのなれそめや思い出を綴った原稿を、残された遺族の方がまとめたという本書は、原稿に対する気負いも重圧もなく、ただひたすらに著者の愛妻家ぶりと自分の一生への肯定的な気持ちが伝わり、すがすがしい気持ちになる。私の少ない読書体験の中では、著者の自伝にはまだ巡り会っていないけれど、愛妻との出会い、そして名古屋への通勤から茅ヶ崎への転居、小説家としてのデビューが淡々とした筆致で語られており、本書こそが著者の自伝といっても過言ではないだろう。巻末には原稿を編纂した遺族の娘さんによる文章も載っており、著者の主観的な文章と、娘さんの客観的な視点から、氏の愛妻家や人柄が伝わってくる。職住近接のススメとして、本書を取り上げてもいいかもしれない。なお、この本の解説を児玉さんが書かれたのは、なくなる一年前である。あくまで想像だけれど、お亡くなりになる前に、改めて本書の想いを味わいつつ、旅立たれたのではないだろか。'12/1/30-'12/1/31
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