ウェブ時代をゆく ─いかに働き、いかに学ぶか (ちくま新書)
ウェブ進化の初期に現れた新しいタイプのリーダーたちに共通するのは、「自分が好きなこと」「自分に向いたこと」「自分がやりたいこと」を対象に「勤勉の継続」が自然にできる人たちであった。強いられて行う「勤勉の継続」とは決定的に違って、志向性と自発性と能動性がすべての始まりだから、彼ら彼女らにとって、勤勉は苦しみではなく楽しみなのである。
一流のエンジニアは、すべての情報が開示されたときに最高の意思決定ができる。普通の会社にはそんな環境は存在しない。でもグーグルだけはどんなに大きくなったってそういう環境を維持したい。
「時間の使い方の優先順位」を変えるにはまず「やめることを先に決める」ことである。それも自分にとってかなり重要な何かを「やめること」が大切だ。お正月の「今年の抱負」がたいていは実現できないのは「やめること」を決めずに、ただでも忙しい日常に「やること」を足そうとするからである。時間は有限なのだ。精神だけで新しいことはできない。
自分の志向性を探索することは、膨大な雑音を払いのけて、自分と波長の合う信号を探すことだ。けなす対象は自分にとっての雑音にすぎない。それに関わりを批判したり粗探ししている時間はもったいない。
「けものみち」では「働き者」対「怠け者」が軸となる。「けものみち」で「頭がよければいいだろう」というのは通用しない。何かを知っている、何かを記録しているというタイプの頭のよさは、あまり重要ではなくなるからだ。
「Only the Paranoid Survive」~「病的なまでに心配性な人だけが生き残れる」。そのくらいの緊張感で事に処するものだけが、厳しい競争を生き残ることができるという意味だ。
人からどう見えるとか、他人と比較してどうこうという相対的基準に左右されるのではなく、自分を信じ、好きを貫く人生を送ること。本当の幸福とは、そういう心の在りようにこそあると思う。
これまでの日本社会では、「自分は何が好きなのか、自分という固有の存在が何を志向しているのか」を自らに問わず、「目の前にあるすべきことに情熱を注ぐこと」ができる人のほうが生きやすかった。
学者や芸術家の世界で超一流の仕事をする人たちは皆、自らの志向性を早い時期に発見し、自らの志向性と波長のぴったり合った対象へ深い愛情を持ち、対象に没頭し、長期にわたり自分の時間を惜しみなく投じ、勤勉なコミットメントを続けるという資質を共通に有している。
基本的には人を信じること、人は正しいことをするものだという信頼がなければ、ウィキペディアのような共同モデルは成り立たない
だから、グーグルは「知と情報をあまねく流通させることで個の自由を徹底的に追求する新しい文明」の尖兵としての役割を果たそうとする。個人がより自由になるために、情報という新しい強力な武器を与えようとしているわけだ。
テクノロジーこそが反中央・反権威の個をエンパワーするもので、その力を起爆剤に現状を破壊しフロンティアを切り拓くという考え方である。各個人の自由を最大限尊重すべきだとし国家や体制に縛られるのを嫌うリバタリアン的な考え方と、カリフォルニア的なテクノロジー至上主義(個の力を強めるパーソナルテクノロジーや管理されないネットの自由を信棒する)が結びついた考え方である。
社会に問題があるのは誰かのせいだと考えず、たとえば政府だってこういう大変化の前では無力だと割り切り「自助の精神」で事に処することである。変化に適応しやすいのは大組織より個だ。個が「緊張感を持って生きる」べく頭を切り替え、ネット世界に向き合ってその可能性を追求すれば、驚異はチャンスに変わる。
学歴より「いま何ができるか」が問われ、組織を出たり入ったりも自由、再挑戦はいつでも可能で「個」が多様な生き方を追求できる社会
人は誰しも「好きなこと」「やりたいこと」に熱中、没頭しているときは、時が経つのを忘れるほどの充実感が得られ、自分に「向いたこと」だからこそ長く一つのことを続けられる。継続が力となり、競争力になる。
「できるから」ではなく「好きだから」出なくては長続きしない。だからこそ、対象をどれだけ愛せるか、どれだけ「好き」なのかという「好きということのすさまじさ」の度合いが競争力の源泉になる。
アントレプレナーシップの真髄とは、「自分の頭で考え続け、どんなことがあっても絶対にあきらめない」ということに尽きるのだ。「勝った者」とは「勝つまでやった者」なのである。
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