「次世代」というコンセプトは、ほぽあらゆる企業にあてはまる。従来の「よいものを安く」戦略では、業界トップにはまずなれないが、次世代戦略ならそれも可能だ。それでも、多数の企業が今も「よいものを安く」戦略に無駄金を注ぐ。この戦略では、外部と内部とで二段階作戦をとる。外部には、競合製品より品質がよいというイメージを定着させ、内部には、コストダウンのために製造過程の見直しを行うのだ。こうして、競合製品よりも、よりよく安い製品が完成する。
だがそうしている間に、先見の明のある競合相手は、溝の向こう観にしっかりとした上陸拠点
を構築していく。

一九七五年、クアーズーバンケットは、出荷している一一州のうち一〇州で、ビール売上トッ
プになっていた（例外はテキサス州だったが、この州は、どんなブランドでも手こずる）。

一九八三年には、チキンーナゲットやマクリーンーデラックスーサラダなど多数の新メニューを導入し、その後一〇年で、一店舗あたりの平均売上は三五％も上昇した。
素晴らしい。だが同じ一〇年で、食品の消費者物価指数は四一％上昇している。もしマクドナルドが新メニューを導人せず、従来のメニューをインフレに合わせた価格で販売していれば、売上は三五％ではなく四一％上昇していたのではないだろうか。