寓話〈上〉 (岩波文庫)
評価 : (4.0点)

 寓話というのはそもそも比喩を使った教訓なんだよね。
 ラ・フォンテーヌはルイ14世の長子に向けて書いたりしたけども、長いこと様々な人に読まれていると作者の意図と作品の解釈はどんどん離れてくる。いずれ教訓という部分は見えなくなってくる、という具合でぼくは「寓話」ということばを捉えています。お前が意味わかってないだけだろ、と言われればそれまでですが。
 これはイソップの寓話を下敷きにした詩らしいんだよね、すべてではないそうだけど。
 イソップは岩波の寓話集を立ち読みしたことがあるけど、たとえば『金の斧』でwikiを見てもらうと、まさにここにあるような簡単な「教訓」の説明が全部の話の最後についていて、とてもがっかりした。読み終わって何か感じる前に嫌でも「教訓」が目に入ってくる。好きに読ませてほしいと思うんだよ。せめて最後のページにまとめるとかなんとかできなかったのかな。
 あ、この本は簡単な訳注がついているだけです。
――引用――
「もうたくさん」と田舎のネズミは言った。
「あしたはわたしのうちへいらしてください。
あなたのように、王さまのごちそうを
自慢できるわけではありませんが、
邪魔しにくるものはありませんし、
わたしはゆっくり食べるのです。
では、さよなら。心配で味がなくなる
楽しみなんてごめんです。」
(『都会のネズミと田舎のネズミ』)


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