ゲームにすればうまくいく―<ゲーミフィケーション>9つのフレームワーク

著者
出版者
NHK出版
価格
¥1,470
■ゲーミフィケーションは、「おもてなし」を表現する技術へと進化する
実際のビジネスに置き換えて考えるのならば、それはサービス提供者(企業や従業員)とプレイヤー(顧客)が相互に築きあげていく関係性です。主客が対等である関係性は、茶道の場合は亭主と同程度の水準にある上級者たる客が存在するからこそではありますが、これは今までのビジネスで欠けていた視点かもしれません。
たとえば、CRMでは、顧客データを分析し、地行きゃ性別、年齢などに応じてダイレクトメールを送るような一方的なコミュニケーションをとることが多いものです。顧客は本当にそれを望んでいるのでしょうか?そこにはおもてなしの心が欠けているといえないでしょうか。
ビジネスをゲームとして捉えて改善していくことは、ビジネスにおもてなしの心を加えていくことだと思います。これからのビジネスに必要になっていくのは、サービス提供者(企業)とプレイヤー(顧客)が相互で築きあげていく関係性ではないかと考えています。
その手法として大きな可能性を秘めているのがゲーミフィケーションです。サービス提供者はゲーム要素を使うことでおもてなしを表現することができます。ソーシャルネットワークが普及してきている現在、「炎上」などという言葉に代表されるように、ある意味で顧客と企業が対等の関係性になりつつあるといえます。
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京都のお茶屋文化に「おもてなし」を知る
邦楽が生きている花街でお茶屋遊びをするには、三味線を弾ける、長唄が歌えるなどの趣味があると、さらに楽しめること。また、舞妓の装いにしても、「髪を割れしのぶに結っているから、まだお座敷に出たての舞妓だとわかる」、「たとえば四月には桜のかんざしという風に、月替わりの花かんざしで季節のうつろいを楽しませてくれている」などなど。まさしく、知れば知るほど、そこに秘められたより深い世界観を理解できるのだと感じました。そこにはゲームにも通じる源流があるのではないでしょうか。
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ゲームの要素をビジネスに応用することを考える上で、まず重要なのは、顧客が本来求めている価値を得ることに近づく、あるいは実感できるようなゲームの仕組みを運用することです。
さらに、その中で顧客が得たいと考えている価値と、製品やサービスの提供者側である従業員が提供したいと考えている価値が同じゴール向かっているとき、大きなシナジー(相乗効果)が生み出されます。
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●「チューニング」のためにモチベーションを知る
ダニエル・ピンクは『モチベーション3.0』のなかでモチベーションに必要な要素を考察しています。
ピンクによれば「モチベーション1.0」とは生存を目的としたモチベーションです。空腹を満たす、生殖など生存本能に基づくものです。次の「モチベーション2.0」は工業化社会で働く人たちです。いわゆる身分や報酬などによるアメとムチ、外発的な報酬と罰を中心に構築されていました。ピンクはこうしたやり方ではモチベーションを保つことはもはやできない環境になっていると指摘し、「モチベーション3.0」を提唱。
これは、学びたい、創造したい、世界をよくしたいなど人間が本来心のうちに持っている内発的なモチベーションです。さらにピンクはそこに必要な要素として「目的」、「自律性」、「マスタリー(熟達)」の3つを挙げています。
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「上級者向け」ゲーム要素のアイデア
・より高い目標
・チーム戦
・自己表現
・ミニゲーム/サブストーリー/ステージ拡張
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ビジネスにゲームの要素を取り入れた場合、上級者とは特にロイヤルティの高い顧客層を指すことになります。こうした層の顧客は、通常の要素をすでにやり終えていたり、飽きを感じていたりするため、「やりこみ要素」、「上級者同士でのインタラクションできる要素」、「上級者ならではの特典」など、別の要素を用意することが必要です。特に重要な次の3点に触れておきたいと思います。
①満足した「上級者」はロイヤルティが高く、優良な新しい顧客にクチコミする可能性が高い
②「上級者」が初級者・中級者にとってのあこがれの存在、ロールモデル(見本、模範)になる
③コミュニティを積極的にリードしてくれる
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③分析の結果に基づいて対応施策を立案し、それを実施する。②に戻り繰り返す
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②それをつねにデータとして蓄積し、推移を見られるようにするなど、改善すべきKPIがどういったもので、より改善するためにはどうすればいいのかを分析する
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実際のビジネスに活用する場面においては、チューニングを次の3つのステップで実現していくことができます。
①顧客との関係性の良好さ(=エンゲージメント)を表現すると考えられるKPIを定める
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