友達の数は何人?―ダンバー数とつながりの進化心理学

私たちはいつのまにか、教育の目的を見失ったのかもしれない。教育は精神を鍛え、探求心をかきたててくれるものなのに、そうした価値が評価されなくなっている。 P233
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エンドルフィンの役割は、心身の消耗が引き起こす苦痛やストレスをやわらげることだ。たくさんの本を読み、難解な証明やうまくいかない実験について考えていると、眼精疲労や頭痛に襲われ、いらいらが募ってくる。でも生まれつきエンドルフィンがたくさん放出される幸運な人は、それを軽々と乗り越えていける。凡夫たちが力つきてあきらめたあとも、新鮮な心持ちのまま次に勧めるのだ。 P 230
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だから宗教儀式には、身体にある程度のストレスを強いるものが多いのだ。歌ったり踊ったり、えんえんと身体を揺らしたり飛び跳ねたり。数珠を繰るのも、ひざまずいたり蓮華坐を組んだりするのもそうだ。ときにはむち打つなどして、本当に痛めつけることもある。それでも信者たちは幸福感に酔いしれている。彼らは毎週お祈りをすることで、ヤクを打っているようなものなのだ。そしてここが肝心なのだが、エンドルフィンには免疫システムが万全に機能するよう「チューンナップ」する働きがある。つまり信仰心が厚い人ほど健康になれるということだ。 P215
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しかし近年、神経心理学のめざましい進歩によって、スコットランド啓蒙主義に最終的な軍配があがろうとしている。私たちはいかにして道徳的な判断をくだすのかーそれを突き止めるために、これ以上ないくらいシンプルな実験を行ったのが、ヴァージニア大学のジョナサン・ハイトを中心とする研究チームだ。被験者を2つのグループに分けて、道徳的に首をかしげるような行動を評価させるだけなのだが、ひとつのグループは臭いトイレや乱雑な机の側に座らせ、別のグループはもっと快適な環境においた。すると最初のグループの方があとのグループのほうより評価が厳しくなった。 P200
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だが中国政府の観点からは、進化が人間に与えてきた影響が抜け落ちていた。そして起こったのが、人口爆発とはまったく異なる形の予想外の人工崩壊だった。もともと人口学の研究者は進化について理解もしていなければ、興味もない人がほとんどなのだが、このときも重要な点が見逃されていたのだ。それは夫婦は男の子を欲しがるという事実だった。農業の働き手が不可欠な地方では、この傾向がとりわけ顕著だ。胎児の性別調べが安上がりにできることも手伝って、胎児が女だと判明した夫婦は人工中絶を選んだ。
それから20年弱の月日たった現在、一人っ子政策がつくりだした時限爆弾がはっきりした形で姿を現している。
(略)中国全体で男性は女性より1800万人も多いという推計が出ている。2020年にはさらに差が広がって、3700万人の男性があぶれるだろう。これはかなり不穏な数字である。なぜなら彼女のいない男の子はろくなことをしないからだ。 P133
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(ミルクを飲むと体調が悪くなる人たち)彼らは病気などではない。むしろ異常なのはミルクを平気で飲めるほうなのである。現生人類の中で、ミルクの乳糖を分解する酵素、ラクターゼを分泌する人はごく一部だけだ。もちろん赤ん坊のときは誰でもミルクを飲んで消化している。ところがラクターゼ分泌にかかわっる遺伝子は、離乳期とともに働くのをやめてしまうのだ。それ以降はミルクと乳製品は消化できないものになり、無理に摂取すると最悪の場合、生命にも関わることになる P113
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テキサス大学オースティン校の心理学者デヴィッド・バスは「お相手選び」研究の第一人者だが、1989年、彼は結婚に関するさまざまな好みや傾向を調べる大規模なアンケートを実施した。対象になったのは、オーストラリアからザンビア、中国からアメリカまで37ヶ国の一万人以上である。アンケート結果を分析したところ、国や文化に関係なく、男性よりも女性の方が相手選びの好みがうるさく、社会的な条件や本人の性格、資質といった数多くの基準で候補者を評価していることがわかった。女性は候補者の社会的地位や収入を条件から外すことは絶対にないのだ。いっぽう男性が相手選びで優先させるのは、女性の若さであり、外見だった。 P82
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ハイテク素材ゴアテックスの製造・販売を行ってきたビル・ゴアは、世界で最も成功した企業経営者のひとりだ。ゴアテックスの生産量を増やすとき、彼は既存の製造設備を拡大するのではなく、工場を新設する道を選んだ。どれも従業員150人程度の工場だ。それがゴアの成功の秘訣だったのではないかと私はにらんでいる。工場の規模をそこまでにおさえることで、組織内に序列関係を導入したり、管理部門を作ったりする手間を省いているのだ。個人同士の関係が中心になるため、おたがいへの義務感が生まれ、従業員同士は競い合うのではなく協力するようになる。 P24
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ビジネスの数でもこの数はおなじみだ。ビジネス組織論では1950年代からよく言われてきたことだが、組織の規模が150人くらいまでなら、ひとりひとりの顔がきちんとわかるレベルで仕事が回る。それ以上になったら、序列構造を導入しないと仕事の効率は落ちる。分かれ目は150〜200人で、それを超えるとさぼりや病欠がぐっと増えるのである。 P23
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人間以外の霊長類では、集団サイズと新皮質の大きさが比例することがわかった。となると最大級の新皮質を持つ人間は、どれほどの集団を形成するのだろう?猿や類人猿の例から推定すると、その数は約150となる。ーつまりひとりの人間が関係を結べるのは150人までということで、これを謹んでダンバー数と名付けさせてもらう。だが150という数は本当にただしいのだろうか?裏付けはどこにあるのか。 P22
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宗教は儀式だけで成りたつものではなく、信仰体系という重要な柱がある。ではなぜ宗教には儀式と信仰体系が必要なのか?この疑問に私なりの答えを出すとしたらこうなる。エンドルフィン分泌によって集団の結束を高めるのが儀式のねらいだが、儀式は全員が参加しないと意味がない。そこで信仰体系の出番である。それは集団の顔ぶれが定期的にそろうためのアメとムチの役割をはたす。 P218
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