Tadashi Fujii
ライブラリ 41 册 | 詳細レビュー 6 件 | 引用 0
一行紹介

八重洲ブックセンターの近所で働いています。


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自己紹介

ノンフィクションとか好きです。佐野眞一とか。
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ザ・ラストバンカー 西川善文回顧録
評価 : (4.0点)
小澤征爾さんと、音楽について話をする
評価 : (4.5点)

村上春樹が小澤征爾に「インタビュー」したのがこの本。

面白かったので、忘れなうちにいくつか書き残しておこう。

「1Q84」でヤナーチェクの「シンフォニエッタ」を取り上げたり、
「ねじまき鳥クロニクル」ではロッシーニの「どろぼうかささぎ」をBGMに使ったりと、
クラシック音楽を作品中で取り上げることが村上春樹の場合は少なくない。

とは言え、村上春樹の音楽エッセイはこれまでは、
ジャズについてのものが多かったので、
クラシックでどれほど深い話を小澤征爾から引き出しているのか、
全く未知数だったのだが、いやー驚いた。

村上春樹ってクラシックもかなりお詳しいのね。

例えば、ルドルフ・ゼルキンのベートーヴェンピアノ協奏曲を、
小澤・バーンスタインの同曲異盤やグールド・カラヤンの共演盤を
聴き比べながらあたりは同好の士が語り合うようで、
読みながらほんとこの人(村上春樹)はクラシックが好きなんだなぁと、
嬉しくなった。いやはやこの人マニアだ。

朝比奈隆が戦前期からの日本における西洋音楽史の語り部として、
いくつかの対談やインタビューを世に送り出したが、
この村上春樹による小澤征爾のインタビューも、
日本人による海外での活躍を記す音楽史を物語る貴重な一冊として記憶され続けるだろう。

いくつか印象深いところを書き出すと、

○小澤征爾はグレン・グールドと交流があった(p.44)
小澤:「僕もトロントで彼のことを少し知っているから、そりゃおかしな話がいっぱいありますよ。彼のうちにも遊びに行ったし……」

○マーラーの交響曲を実演に接する前に、スコアを見てその素晴らしさに驚嘆した(pp.205)

村上:「初めてスコアを見てみて、どうでした?」
小澤:「それはもう、すごいショックだったですよ。そういう音楽が存在していたことすら、自分がそれまで知らなかったということがまずショックだった。(以下略)」
(この後、トロント、サンフランシスコの音楽監督時代に積極的にマーラーを取り上げ、
ボストン時代には交響曲全集を録音している)

などなど、書き始めるとキリがないがクラシック音楽を愛好する方は、
ここで紹介されている演奏を聴きくらべながら、
この二人の会話に参加するとこの上ない愉悦の時を過ごせることうけ合いである。

(この本で紹介されている演奏のうちはルドルフ・ゼルキンとバーンスタインによる
ベートーヴェンピアノ協奏曲がいま廃盤のようだ。中古を丹念に探すとしよう)


ソーシャルシフト―これからの企業にとって一番大切なこと
評価 : (3.0点)

ソーシャルの事例集を期待して読むと肩透かし食らうかも。

この本で筆者が伝えようとしているのは、
ソーシャルメディアという道具を使いこなす企業の変化が必要だということ。

それは対消費者の姿勢もあるし、
従業員に対するマネジメントも然り。

筆者の主張する世界に到達するには、
責任と裁量を従業員に持たせながら、
消費者のひとつひとつの声に愚直に耳を傾け続けるしかないないんだよねぇ。

読みすすむにつれて、消費者と向き合うということをじっくりと考えさせてくれる本だ。

いずれにせよ、どんなサービス・製品も最後は人に尽きるということか。


昭和天皇伝
評価 :(未評価)
ハゲタカ(下) (講談社文庫)
評価 :(未評価)
ハゲタカ(上) (講談社文庫)
評価 : (4.0点)

筆者が新聞記者出身ということもあってか、事実関係がわかりやすく整理されており大変読みやすい(これ大事)。当時の関係者や企業名が容易に推察されるネーミングなので(フィクションの部分も当然あるが)山一の自主廃業や拓銀の破綻からはじまった「失われた10年」を振り返りながら読むことができた。続編も読んでみることとしよう。


毎日かあさん8 いがいが反抗期編
評価 : (3.0点)

このシリーズは相変わらずと心がホンワカする安心できる読みもの。個人的にはSPAの連載で「もんじゅ」に行ったりしてた頃の作品とかも好きだけど。これはこれで好き。


ねむり
評価 :(未評価)
エネルギー論争の盲点―天然ガスと分散化が日本を救う (NHK出版新書 356)
評価 :(未評価)
フルトヴェングラー (筑摩選書)
評価 :(未評価)
下山事件最後の証言 完全版 (祥伝社文庫 し 8-3)
評価 : (4.0点)

この本を手にする前に森達也のやつも手に入れていたのだが、読んだのは結局こちらが先。下山国鉄総裁を殺害したのは誰か?「関係者」の孫(著者)による追跡に時を忘れるほど引き込まれた(結局徹夜した)。圧巻は矢板玄への取材のくだり。真剣を振りかざされつつも、M資金の実態が明らかにされるあたりは読んでいて唖然とするほど。ところで、この本の中で森達也が取材事実を捻じ曲げて本を著したことが晒されている。森達也をしてそこまでさせるほど、下山事件というのは書きての誘惑を誘うテーマなのだろう。ここ最近読んだノンフィクションでは出色の一冊。星4.5


悪名の棺―笹川良一伝
評価 : (4.0点)

笹川良一といえば「右翼の大物」「A級戦犯」「競艇の元締め」
といった程度の断片的な評判(知識ですらない)。この本を読んでそんな表層的な認識が恥ずかしくなるほど一変した。20代後半で先物取引で才覚を発揮し現在の価値で30億円を手にした若者は自費で政党を立ち上げ政府の圧力に抗いながら政治運動に身を投じ、戦後は戦没者遺族やハンセン病患者の支援に身を投じる慈善家笹川良一が描かれている。全面的に笹川良一の功績を肯定するのはまだ保留しておきたいが(批判的見地からの本も読んでみたい)、極めて人間味に富んだ仁愛の人であることは間違いがないようだ。


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